家賃と住宅ローンの毎月の支払いを比較する方法。抜けやすい費用まで並べる
「いまの家賃と同じくらいの返済額なら、買ったほうが得」。よく聞く言葉ですが、住宅ローンの返済額だけを家賃と比べると、購入後に毎月かかる他の費用が抜けます。この記事では、家賃と「購入後の毎月の支払い」を正しく比較する方法を、計算例で解説します。今週の親記事 頭金がない場合の住宅購入の資金計画 の関連記事です。
- 金額はすべて考え方を説明するための仮のものです。物件や地域によって大きく異なります。
- 購入と賃貸のどちらが合うかは、ご家庭の状況によります。この記事はどちらかをすすめるものではありません。
家賃側に含めるもの
- 家賃
- 共益費・管理費
- 駐車場代(借りている場合)
- 更新料(2 年ごとの更新料を 24 で割って月額に直す)
- 火災保険(年額を 12 で割る)
家賃 8 万円、共益費 5,000 円、駐車場 8,000 円、更新料 8 万円(2 年)、火災保険 年 1.5 万円なら、毎月の支払いは 8 万+0.5 万+0.8 万+約 0.33 万+約 0.13 万 = 約 9.8 万円です。
購入側に含めるもの
- 住宅ローンの毎月の返済額
- 管理費・修繕積立金(マンション)/修繕のための積立(戸建ては自分で積み立てる)
- 固定資産税・都市計画税(年額を 12 で割る)
- 火災保険・地震保険(年額を 12 で割る)
- 駐車場代(マンションで借りる場合)
- 団体信用生命保険の上乗せ分(金利に含まれていない場合)
計算例: 物件価格 3,000 万円の中古マンション
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 住宅ローン返済(3,000 万円・年 1.5%・35 年) | 約 9.2 万円 |
| 管理費 | 1.2 万円 |
| 修繕積立金 | 1.0 万円 |
| 固定資産税・都市計画税(年 12 万円) | 1.0 万円 |
| 火災・地震保険(年 3 万円) | 0.25 万円 |
| 駐車場 | 0.8 万円 |
| 合計 | 約 13.5 万円 |
住宅ローンの返済額だけなら約 9.2 万円で、家賃側の約 9.8 万円より安く見えます。しかし、購入後に毎月かかる費用を足すと約 13.5 万円になり、いまの支払いより 3.7 万円ほど増えます。この差を家計が受け止められるかが、比較の本当のポイントです。
比較のときに考える 4 つの視点
1. 「返せる額」は購入側の合計で決める
金融機関の返済負担率は住宅ローンの返済額で計算しますが、家計から出ていくのは合計額です。返せる額は、購入側の合計が家計に収まるかで決めます。
2. 修繕費は戸建てでも必要
戸建ては修繕積立金の徴収がありませんが、外壁・屋根・給湯器などの修繕は必ず来ます。月 1〜1.5 万円程度を自分で積み立てる前提で比較すると、マンションと同じ土俵になります。
3. 資産になる部分と、ならない部分
住宅ローンの返済のうち元金部分は資産(持ち分)として残りますが、利息・管理費・税金・保険は家賃と同じく残りません。「買えば全部資産になる」わけではない点は、冷静に見ておく必要があります。
4. 既存のお借入れがある場合
カードローンや車のローンの返済が続く場合は、購入側の合計にその返済額も足して比べます。既存のお借入れを住宅の取得と合わせて整理できれば、購入側の合計が変わることがあります。考え方は 返済負担率が上限を超えたときの 5 つの調整方法 をご覧ください。
比較表を自分で作る手順
- いまの家賃側の項目を月額に直して合計する。
- 検討中の物件で、購入側の項目を月額に直して合計する(管理費・修繕積立金・税金は不動産会社に確認できる)。
- 差額を出し、その差額を毎月払い続けられるかを、教育費や車の買い替えなど今後の支出と合わせて確認する。
この 3 手順で、「家賃と同じ返済額」という言葉に流されずに判断できます。



