手元資金をお借入れの整理と頭金のどちらに使うか。金利で決める判断の順番
手元に 200 万円ある。カードローンの残高が 150 万円ある。この 200 万円を完済に使うべきか、頭金に回すべきか。頭金がない方、少ない方の相談で必ず出てくる問いです。この記事では、金利の差、返済負担率への効果、予備費の確保という 3 つの軸で判断する順番を、計算例つきで整理します。今週の親記事 頭金がない場合の住宅購入の資金計画 の関連記事です。
- 計算例の金利や金額は考え方を説明するための仮のものです。
- 実際の判断は、お借入れの契約内容、金融機関の条件、ご家庭の支出予定によって変わります。
軸 1: 金利の差
原則は「金利の高いお借入れから先に減らす」です。カードローンの金利は年 15% 前後、リボ払いも同程度の例が多く、住宅ローンの金利(年 0.5〜2% 程度)と比べて桁が違います。
手元資金 100 万円を、金利 15% のカードローンの完済に使うと、年間で約 15 万円の利息がなくなります。同じ 100 万円を頭金にして住宅ローンの借入額を 100 万円減らしても、減る利息は年間 1.5 万円程度です。金利の差だけで見れば、10 倍の差があります。
軸 2: 返済負担率への効果
返済負担率の計算では、住宅ローンの返済額に既存のお借入れの毎月の返済額が加わります。カードローン 150 万円の毎月の返済額が 3 万円なら、完済によって月 3 万円分の返済負担が消え、借入額の目安が約 780 万円上がります。
一方、同じ 150 万円を頭金に回すと、住宅ローンの借入額が 150 万円減り、毎月の返済額は約 5,800 円下がるだけです。返済負担率への効果でも、既存のお借入れの整理のほうが大きいことが分かります。
軸 3: 予備費の確保
ただし、手元資金を使い切ってはいけません。引越し・家具家電の費用と、生活費 3 か月分程度の予備費は、どちらにも使わずに残します。住宅の購入直後は出費が続くうえ、収入の変化や急な修繕にも備える必要があるからです。
判断の順番
- 予備費を確保する。 手元資金から、引越し・家具家電と予備費を先に取り分ける。
- 残りで、金利の高いお借入れから整理する。 カードローン・リボ払い → 車のローン → 奨学金の順が一般的(奨学金は金利が低いので通常は残す)。
- それでも残れば頭金に回す。 頭金の有無で金利が変わる金融機関を使う場合は、その条件も考慮する。
計算例: 手元資金 200 万円、カードローン残高 150 万円(月 3 万円返済)
| A: 頭金に 200 万円 | B: 完済に 150 万円、予備費に 50 万円 | |
|---|---|---|
| カードローン | 残る(月 3 万円の返済継続) | 完済 |
| 返済負担率に入る既存の返済 | 月 3 万円 | 0 円 |
| 借入額の目安(年収 400 万円・上限 35%) | 約 2,250 万円 | 約 3,000 万円 |
| 予備費 | 0 円 | 50 万円 |
| 年間の利息負担(カードローン分) | 約 20 万円 | 0 円 |
この例では、B のほうが借入額の目安が 750 万円ほど高く、予備費も残り、年間の利息も減ります。頭金ゼロになりますが、家計全体では B が有利です。
完済せずに「まとめて検討する」選択肢
手元資金が足りず、完済も頭金も難しい場合は、住宅の取得と合わせて既存のお借入れの返済資金を検討できる商品が候補になります。手元資金を予備費に残したまま、返済負担率を下げられる可能性があります。ただし上限と対象の制限があり、総支払額が増える可能性があります。詳しくは 商品の型と条件の見方 をご覧ください。
まとめ
- 金利の高いお借入れの整理は、頭金より効果が大きい(金利で 10 倍、返済負担率でも数倍)。
- ただし予備費を先に確保する。使い切らない。
- 順番は、予備費 → 金利の高いお借入れ → 頭金。
- 手元資金が足りなければ、まとめて検討する商品も選択肢。



