COLUMN
住宅ローン控除の対象になる部分とならない部分。諸費用やまとめた借入はどうなるか
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高に応じて所得税などが軽くなる制度です。頭金がない場合や、諸費用・既存のお借入れの返済資金を住宅ローンに含めた場合、「どの部分が控除の対象になるのか」は見落とされがちです。この記事では、制度の基本と、対象になる部分・ならない部分の考え方を整理します。今週の親記事 頭金がない場合の住宅購入の資金計画 の関連記事です。
この記事について
- 制度の内容(控除率・期間・上限・要件)は年度や住宅の種類によって変わります。この記事は考え方の整理であり、最新の要件は国税庁の案内または税理士にご確認ください。
- 個別の適用可否は税務署または税理士の判断によります。
制度の基本
- 対象: 自分が住むための住宅の取得(新築・中古・一定の増改築)に充てた住宅ローン
- 仕組み: 年末の住宅ローン残高の一定割合が、その年の所得税(引ききれない分は住民税の一部)から差し引かれる
- 期間: 一定年数(住宅の種類・入居時期による)
- 主な要件: 返済期間 10 年以上、床面積の下限、所得の上限、入居の時期、住宅の性能に関する要件など
初年度は確定申告、2 年目以降は年末調整(給与所得者の場合)で手続きします。
対象になる部分・ならない部分
| 住宅ローンに含めたもの | 控除の対象 | 補足 |
|---|---|---|
| 住宅(建物)の取得費 | 対象 | 制度の本来の対象 |
| 土地の取得費(住宅と一体で取得) | 対象 | 一定の要件あり |
| 諸費用(登記費用・手数料・保険など) | 対象外となる場合がある | 住宅の「取得の対価」に当たらない費用は対象外 |
| 引越し費用・家具家電 | 対象外 | 住宅の取得ではない |
| 既存のお借入れの返済資金(まとめた部分) | 対象外 | 住宅の取得以外の目的 |
ポイントは、控除の対象は「住宅の取得に充てた部分」だけ、ということです。住宅ローンの残高全体に対して控除が受けられるわけではありません。
まとめて検討した場合の考え方
住宅の取得資金に加えて、既存のお借入れの返済資金を住宅ローンに含めた場合、住宅の取得に充てた部分と、それ以外の部分を分けて考える必要があります。たとえば借入額 3,300 万円のうち、住宅の取得費が 3,000 万円、既存のお借入れの返済資金が 300 万円なら、控除の対象は 3,000 万円に対応する残高部分です。
金融機関によっては、住宅部分とそれ以外を別の契約に分ける、または年末残高証明書で区分を示す扱いになります。お申込みの前に、金融機関に「控除の対象になる部分をどう示すか」を確認しておくと、確定申告のときに迷いません。
頭金ゼロと控除の関係
控除額は年末の残高をもとに計算されるため、借入額が大きいほど控除額も大きくなる傾向があります(上限あり)。頭金ゼロで借入額が大きい場合、控除額が大きくなる点は、頭金ゼロの利点のひとつとして挙げられることがあります。ただし、利息の負担も大きくなるため、控除額と利息を比べて判断する必要があります。頭金の有無の比較は 頭金ゼロで購入する場合の毎月の返済と総支払額の見方 をご覧ください。
確認しておきたいこと
- 検討している住宅が、床面積や性能などの要件を満たしているか
- 返済期間が 10 年以上か
- 諸費用や既存のお借入れの返済資金を含める場合、控除の対象部分をどう示すか(金融機関に確認)
- 初年度の確定申告に必要な書類(登記事項証明書、売買契約書、年末残高証明書など)



